ピルを飲むと太るって本当?!太るといわれる要因や体験談を徹底解説

ピルって太るの?

ピルは避妊や月経困難症・月経前症候群・子宮内膜症など、月経や婦人科の病気に用いられる薬です。ピルについて調べていくと「ピルを飲んだら太る」と書かれているサイトも少なくありません。

ピルは正しい知識を持って医師の指示通り服用すれば、女性にとってとてもメリットの多い薬です。正しい知識を持っていないために、ピルのメリットを体験できないのはもったいないと思いませんか?

今回は“ピルを飲むと太るのか”について、詳しく解説します。

ピルを飲むと太るって本当?ピルと体重のウソ・ホント

結論からいうと、ピルを飲んだから太ることはありません。
ピルを処方する婦人科医師が参考にする低用量経口避妊薬の使用に関するガイドラインには、低用量ピルと体重増加の因果関係は立証されなかったと報告されています。

また、ニキビ予防でピルを飲んだ14歳以上の体重変化を調べた論文では、6か月間体重増加を認めなかったと報告されています。(※1)

なぜピルを服用すると「太る」といわれるのか?

では、なぜピルを服用すると太るといわれているのでしょうか。
そして、そのような体験談がSNSで多く拡散されているのでしょう。

国内でおこなわれた低用量ピルの臨床試験では、次のような副作用および発生頻度が報告されています。(※2)

浮腫 1.0~3.2%
体重増加 0.8~2.2%
顔面浮腫 0.2%
食欲亢進 0.2~1.9%

ピルの服用を開始して体重が増えてしまった人は50人に1人程度いますが、同程度かそれ以上むくみや食欲亢進を認めている人がいるようなのです。

もしかするとピルの副作用で食欲が亢進したり、むくんでしまったことを太ったと思っているケースが一定数含まれているのかもしれません。

では、ピルを服用するとどうしてむくみや食欲亢進がおこるのでしょう。詳しく解説します。

①むくみ
低用量ピルに含まれているプロゲステロンには、体にナトリウムや水分をため込んでしまう働きがあります。服用開始から1~2か月ごろまでに多く見られる症状で、長期間服用していると徐々に改善します。

また、一般的には低用量ピルを服用している期間にむくみやすくなり、休薬期間にはむくみが改善する傾向があります。

②食欲亢進
食欲亢進とはピルを服用した影響で、食欲が増してしまう状態です。
食欲亢進もプロゲステロンの影響で空腹感が増しておこる副作用です。

服用開始から1~2か月ごろまでに多く見られる症状で、長期間服用していると徐々に改善します。またむくみと同様に、休薬期間になれば食欲は落ち着く傾向にあります。
しかし、胃が大きくなり食習慣が変化しているケースでは、食欲が落ち着かない場合もあります。

食欲亢進が長く続くと摂取カロリーオーバーになり、結果的に体重が増えてしまう点に注意が必要です。

体重を増えにくくする2つの対策

むくみや食欲の亢進に対し適切な対策をおこなうと、体重を増えにくくする効果が期待できます。
おすすめのむくみ対策と、食欲亢進対策を紹介します。

対策①血流の改善とむくみにくい生活習慣

むくみは全身の血流低下や塩分・アルコールのとりすぎなどが原因でおこります。
汗ばむ程度の運動や湯船に浸かるなど全身の血行を改善したり、足のマッサージやむくみ予防のソックスを履いたりするのがおすすめです。

また、冷えやすい人やむくみやすい人は食事や生活習慣を見直し、体質の改善を目指すようにしましょう。

アルコールや塩分は顔や手足などに水分をため込みやすくなります。
とくに、食欲が亢進している時期には味が濃くなったり、アルコールを摂取する機会が増えたりしてしまいがちです。

むくみ対策と合わせて次に紹介する食欲亢進対策も取り入れると、相乗効果で体重が増えにくくなることが期待できるでしょう。

対策②食べ過ぎない食生活

食欲が増すと「我慢しよう」と意志の力で抑えようとする人もいるかもしれません。
しかし、プロゲステロンの影響でおこる食欲亢進は意志の力でコントロールすることは容易ではありません。

バランスの取れた食生活を心がけ、よく噛んで食べる、野菜など低カロリーで胃にたまりやすいものを食べて満足感を得られるようにしましょう。

また鍋など体が温まりやすい食事はむくみ対策にも効果が期待できます。ぜひ試してみてくださいね。

どのくらいの期間注意すればいい?

ピルでむくんだり食欲が亢進しやすいのは、飲み始めて1~2か月目の時期です。
またピルを休薬して服薬を再開した直後も体内のプロゲステロンの濃度が急上昇し、むくみやすくなったり食欲が亢進しやすくなるため注意が必要です。

ピル×体重増減エピソードを紹介

ピルを飲んでいるみんなの体重は増えたの?減ったの?変わらないの?気になる口コミを紹介します。

まとめ

ピル自体に太りやすくなる副作用はありません。
しかし、ピルに含まれるエストロゲンの作用でむくみやすくなったり、食欲が亢進して体重が増えてしまったりするケースは少なくありません。

本記事を参考に、ピルを服用して体重が増えてしまう原因と対策を正しく理解し、体重が増えにくくなるように注意しましょう。

ピルは体質に合った薬を正しく服用すれば、避妊やPMSや月経困難症・イライラの軽減などさまざまな効果が期待できる薬です。

女性の体と上手に付きあっていくためにも、ピルの活用をおすすめします。

(※1)Coney P, Washenik K, Langley RG, DiGiovanna JJ, Harrison DD. Weight change and adverse event incidence with a low-dose oral contraceptive: two randomized, placebo-controlled trials. Contraception. 2001 Jun;63(6):297-302. doi: 10.1016/s0010-7824(01)00208-6. PMID: 11672550.

(※2)低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン (改訂版)  平成17年12月 日本産科婦人科学会編